◆1 接尾型代名詞(2)

*三人称の接尾型代名詞の هُ هَا については既に第8課で学びましたが、この課では二人称と一人称の接尾型代名詞を学びます。

*接尾型代名詞の二人称男性単数形は كَ です。

(例) كِتَابُكَ 貴男の本

*接尾型代名詞の二人称女性単数形は كِ です。

(例) كِتَابُكِ 貴女の本

*接尾型代名詞の一人称単数形は(男性形、女性形とも) ِي です。

(例) كِتَابِي 私の本

*既に第4課で学んだように、 سَيِّدِي (フランス語のムッシュー)と سَيِّدَتِي (フランス語のマダム)の最後の ي は、一人称単数の接尾型代名詞です。

*ある語に一人称単数の接尾型代名詞がつくと、その語の最後の音は強制的にカスラ([i] 音)に変わります。

(例) أَمَامَ (〜の前に)

أَمَامَهُ (彼の前に)/ أَمَامَهَا (彼女の前に)/ أَمَامَكَ (貴男の前に)

أَمَامَكِ (貴女の前に)/ أَمَامِي (私の前に)

*この結果、一人称単数の接尾型代名詞がついた語は、もしそれが名詞であれば、格変化ができなくなります。

(例1) كِتَابِي عَلَى المَكْتَبِ 私の本は机の上にあります。[主格]

(例2) القَلَمُ عَلَى كِتَابِي その鉛筆は私の机の上にあります。[所有格]


◆2 前置詞の発音の変化

*前置詞の لِ は、一人称単数以外の接尾型代名詞がつくと、発音が لَ に変わります。

(例1) لَهُ كِتَابٌ 彼は本を1冊持っています。

(例2) لَهَا كِتَابٌ 彼女は本を1冊持っています。

(例3) لَكَ كِتَابٌ 貴男は本を1冊持っています。

(例4) لَكِ كِتَابٌ 貴女は本を1冊持っています。

(例5) لِي كِتَابٌ 私は本を1冊持っています。

عَلَى のように最後がアリフ・マクスーラ(2つの下点のない ي )で終わるすべての前置詞は、接尾型代名詞がつくと、語尾は2つの下点のある ي に変わり、発音は يْ (スクーン)に変わります。

(例) عَلَىهَا (彼女の上に)→ عَلَيْهَا

*接尾型代名詞の三人称単数男性形の هُ は、(短母音・長母音を問わず)母音 [i] に先行されると発音が هِ に変わることは既に第8課で学びました。スクーンになったヤーウに先行された時も、 هُ は同様の変化を起こします。

(例) عَلَى هُ (彼の上に)→ عَلَيْهِ


◆3 能動分詞(1)

جَالِسٌ (座っている)のように فَاعِلٌ の音型をした語は能動分詞ですが、これについては第10課で学びます。なお、能動分詞の女性形は、男性形にター・マルブータを加えると得られます。

(例) جَالِسٌ [男性形](彼が)座っている→ جَالِسَةٌ [女性形](彼女が)座っている


◆4 格変化しない名詞

جُغْرَافِيَا (地理学)のようにアリフで終わる名詞、また مُوسَى (モーゼ)のようにアリフ・マクスーラで終わる名詞は(普通名詞、固有名詞を問わず)格変化をしません。従って、これらの名詞は文中の機能にかかわりなく語尾は常に同一です。


◆5 逆接の接続詞 لَكِنْ

*第8課で学んだ強制対格語 لَكِنَّ からシャッダがとれ、軽量化されたのが لَكِنْ です。 لَكِنَّ は動詞の前では لَكِنْ に変わります。 لَكِنْ لَكِنَّ とは異なり、強制対格語ではありません。

(例) عَلَى مَكْتَبِهِ الصَّغِيرِ دَفْتَرٌ لَكِنْ لَيْسَ عَلَيْهِ كِتَابٌ

彼の小さな机の上にはノートが1冊あります。しかしその上には本がありません。