1 完了形の活用(1)

*完了形(または過去形)は、話者によって言及された時点で既に完了している動作や状態を示します。

*完了形は未完了形とは異なり、《活用接頭辞》がありません。以下のような《活用接尾辞》が、数と人称と性を示しています。

三人称単数男性形は、例外的に活用接尾辞はありません。

三人称単数女性形の活用接尾辞は تْ です。

二人称単数男性形と二人称単数女性形、及び一人称単数形を作る時は、まず第3語根の母音をスクーンに変えてから、それぞれ تُ تِ تَ の活用接尾辞を加えます。

*まとめると、以下のような表になります。


人称

活用形


接尾辞

第3語根

第2語根

第1語根

接頭辞


三人称

男性形

فَعَلَ


لَ




عَ




فَ


女性形

فَعَلَتْ

تْ

لَ


二人称

男性形

فَعَلْتَ

تَ

لْ

女性形

فَعَلْتِ

تِ

لْ

一人称

男女共通

فَعَلْتُ

تُ

لْ


*では、第11課で学んだ動詞を、今度は完了形に活用させてみましょう。


人称

كَتَبَ [Au]

رَفَعَ [Aa]

عَرَفَ [Ai]


سَأَلَ [Aa]

قَرَأَ [Aa]


三人称

男性形

كَتَبَ

رَفَعَ

عَرَفَ


سَأَلَ

قَرَأَ

女性形

كَتَبَتْ

رَفَعَتْ

عَرَفَتْ


سَأَلَتْ

قَرَأَتْ


二人称

男性形

كَتَبْتَ

رَفَعْتَ

عَرَفْتَ


سَأَلْتَ

قَرَأْتَ

女性形

كَتَبْتِ

رَفَعْتِ

عَرَفْتِ


سَأَلْتِ

قَرَأْتِ

一人称

男女共通

كَتَبْتُ

رَفَعْتُ

عَرَفْتُ


سَأَلْتُ

قَرَأْتُ


*このようにすべて同型の活用になりますが、これは完了形の第2語根の母音がみな [a] の動詞であるからです。それ以外の動詞については、第14課で学びます。

*ハムザ動詞の活用にも、特に変わった点はありません。ハムザはすべてアリフの台の上に書かれています。


◆2 否定詞 مَا

*完了形とともに用いられる否定詞は مَا です。第11課で学んだ否定詞の لاَ は未完了形専用で、完了形では用いられません。

(例) مَا غَسَلَتْ فُسْتَانَهَا 彼女は彼女のドレスを洗いませんでした。


◆3 未来辞 سَوْفَ ، سَ

*未来時制を表す時は、未完了形の語頭に سَ または سَوْفَ をつけます。

(例1) سَأَغْسِلُ قَمِيصِي 私は私のシャツを洗うでしょう。

(または)私はすぐに私のシャツを洗います。[近接未来]

(例2) سَوْفَ أَغْسِلُ قَمِيصِي 私はやがて私のシャツを洗うでしょう。[より遠い未来]

*なお、 سَوْفَ より سَ の方が多く用いられます。

*この2語は否定文では用いられません1。また、疑問文でも避けられる傾向にあります。


◆4 分離型代名詞(4)

*動詞の前または後に置かれた分離型代名詞は、行為主を強調するために用いられます。

(例1) هَلْ أَنْتَ غَسَلْتَ قَمِيصَكَ ؟ あなたは自分でシャツを洗ったのですか。

(例2) نَعَمْ ، غَسَلْتُهُ أَنَا はい、私は自分でそれを洗いました。


◆5 形容詞の音型(2) فَعِلٌ

*この課には形容詞の新しい音型が出ています。

(例) وَسِخٌ 汚れている[男性形]/ وَسِخَةٌ [女性形]

*この فَعِلٌ 型も、よくある形容詞の音型の一つですから、注意してください。


1未来の否定を表す時は لَنْ 用います。これについては第2巻第11課で学びます。