◆1 弱動詞(3)
*この課には第3語根が ي で、未完了形の特徴母音が [a] である2つの弱動詞が出ています。
(例1) بَقِيَ [Ia] 残る、留まる(語根は بقي )
(例2) نَهَى [Aa] 禁じる、禁止する(語根は نهي )
*両者の未完了形での活用は同型ですが、前者は فَعِلَ 型、後者は فَعَلَ 型の動詞ですから、完了形の活用が異なります。
◆2 弱動詞の活用(3)
*第3語根が ي で、未完了形の特徴母音が [a] である فَعِلَ 型の弱動詞は、以下のように活用します。
<1>完了形の活用
①三人称単数男性形と女性形では、第3語根の ي は通常の子音として機能します。なお、この型の場合、三人称単数女性形では、第3語根がそのまま残ることに注意してください。
(例1)完了形の三人称単数男性形: بَقِيَ
(例2)完了形の三人称単数女性形: بَقِيَتْ
②第3語根がスクーンとなる他の人称では、この型の動詞の場合、第2語根の母音は [i] ですから、第2語根からスクーン記号が消え、2つの語根は結局、長母音 [i:] を構成します。
(例)完了形の二人称単数男性形: بَقِيتَ → بَقِيْتَ
最終形 |
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中間形 |
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理論形 |
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人称 |
群 |
活用形 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
||
三単男 |
S |
بَقِيَ |
|
|
|
|
|
|
يَ |
قِ |
بَ |
|
||
三単女 |
S |
بَقِيَتْ |
|
|
|
|
|
تْ |
يَ |
قِ |
بَ |
|
||
二単男 |
C |
بَقِيتَ |
تَ |
ي |
قِ |
بَ |
|
تَ |
يْ |
قِ |
بَ |
|
||
二単女 |
C |
يَقِيتِ |
تِ |
ي |
قِ |
بَ |
|
تِ |
يْ |
قِ |
بَ |
|
||
一単 |
C |
بَقِيتُ |
تُ |
ي |
قِ |
بَ |
|
تُ |
يْ |
قِ |
بَ |
|
<2>未完了形の活用
①第3語根が短母音 [u] を持つ、二人称単数女性形以外のすべての人称では、第3語根の يُ は母音 [u] を失い、長母音 [a:] を示すアリフ・マクスーラ ى に転化します。
(例)未完了形の三人称単数男性形: يَبْقَى → يَبْقَيُ
②二人称単数女性形では、この型の場合、第2語根は母音 [a] をとります。このように語中の第2語根と第3語根の弱文字の母音の組み合わせが [a]-[i:] の時は、両者は合体して二重母音 [ai] を構成します。そのため表記上不要になった第3語根の ي は消滅して、スクーン記号だけが残ります。
(例)未完了形の二人称単数女性形: تَبْقَيْنَ → تَبْقَيِينَ
最終形 |
|
中間形 |
|
理論形 |
||||||||||
人称 |
群 |
活用形 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
||
三単男 |
S |
يَبْقَى |
|
ى |
قَ |
بْ |
يَ |
|
يُ |
قَ |
بْ |
يَ |
||
三単女 |
S |
تَبْقَى |
|
ى |
قَ |
بْ |
تَ |
|
يُ |
قَ |
بْ |
تَ |
||
二単男 |
S |
تَبْقَى |
|
ى |
قَ |
بْ |
تَ |
|
يُ |
قَ |
بْ |
تَ |
||
二単女 |
L |
تَبْقَيْنَ |
يْنَ |
|
قَ |
بْ |
تَ |
ينَ |
يِ |
قَ |
بْ |
تَ |
||
一単 |
S |
أَبْقَى |
|
ى |
قَ |
بْ |
أَ |
|
يُ |
قَ |
بْ |
أَ |
◆3 弱動詞の活用(4)
*第3語根が ي で、未完了形の特徴母音が [a] である فَعَلَ 型弱動詞は、以下のように活用します。
<1>完了形の活用
第17課で学んだ فَعَلَ 型の弱動詞 بَنَى [Ai] (建てる、建設する)の完了形と同型です。
①三人称単数男性形では、第3語根の ي はアリフ・マクスーラに転化します。
(例)完了形の三人称単数男性形: نَهَى → نَهَيَ
②三人称単数女性形では、第3語根の ي は消滅します。
(例)完了形の三人称単数女性形: نَهَتْ → نَهَيَتْ
③第3語根がスクーンとなる他の人称では、第3語根の ي は通常の子音として機能します。この型の動詞の場合、第2語根の母音は [a] ですから、2つの語根は結局、二重母音 [ai] を構成します。
(例)完了形の二人称単数男性形: نَهَيْتَ
最終形 |
|
中間形 |
|
理論形 |
||||||||||
人称 |
群 |
活用形 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
||
三単男 |
S |
نَهَى |
|
ى |
هَ |
نَ |
|
|
يَ |
هَ |
نَ |
|
||
三単女 |
S |
نَهَتْ |
تْ |
|
هَ |
نَ |
|
تْ |
يَ |
هَ |
نَ |
|
||
二単男 |
C |
نَهَيْتَ |
|
|
|
|
|
تَ |
يْ |
هَ |
نَ |
|
||
二単女 |
C |
نَهَيْتِ |
|
|
|
|
|
تِ |
يْ |
هَ |
نَ |
|
||
一単 |
C |
نَهَيْتُ |
|
|
|
|
|
تُ |
يْ |
هَ |
نَ |
|
<2>未完了形の活用
前項で述べた بَقِيَ [Ia] (残る、留まる)の未完了形と同型の活用です。
①動詞活用接尾辞が付加されることのない、二人称単数女性形を除くすべての人称では、第3語根の يُ は母音 [u] を失い、長母音 [a:] を示すアリフ・マクスーラ ى に転化します。
(例)未完了形の三人称単数男性形: يَنْهَى → يَنْهَيُ
②二人称単数女性形では、第2語根と第3語根は合体して二重母音 [ai] を構成します。そのため表記上不要になった第3語根の ي は消滅して、スクーン記号だけが残ります。
(例)未完了形の二人称単数女性形: تَنْهَيْنَ → تَنْهَيِينَ
最終形 |
|
中間形 |
|
理論形 |
||||||||||
人称 |
群 |
活用形 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
||
三単男 |
S |
يَنْهَى |
|
ى |
هَ |
نْ |
يَ |
|
يُ |
هَ |
نْ |
يَ |
||
三単女 |
S |
تَنْهَى |
|
ى |
هَ |
نْ |
تَ |
|
يُ |
هَ |
نْ |
تَ |
||
二単男 |
S |
تَنْهَى |
|
ى |
هَ |
نْ |
تَ |
|
يُ |
هَ |
نْ |
تَ |
||
二単女 |
L |
تَنْهَيْنَ |
يْنَ |
|
هَ |
نْ |
تَ |
ينَ |
يِ |
هَ |
نْ |
تَ |
||
一単 |
S |
أَنْهَى |
|
ى |
هَ |
نْ |
أَ |
|
يُ |
هَ |
نْ |
أَ |
◆4 弱動詞活用のまとめ
*第17課から第19課までで、4つの弱動詞の活用の型を学びました。まとめると、以下の表のようになります1。
第3語根 |
第2母音 |
一般式 |
完3単男 |
完2単男 |
特母 |
未3単男 |
و |
A |
فَعَلَ |
دَعَا |
دَعَوْتَ |
u |
يَدْعُو |
ي |
A |
فَعَلَ |
بَنَى |
بَنَيْتَ |
i |
يَبْنِي |
فَعَلَ |
نَهَى |
نَهَيْتَ |
a |
يَنْهَى |
||
I |
فَعِلَ |
بَقِيَ |
بَقِيتَ |
a |
يَبْقَى |
◆5 接尾型代名詞(4)
*接尾型代名詞が後続すると、語末のアリフ・マクスーラはアリフに変わります。
(例1) بَنَى دَارًا 彼は家を建てました。
→ بَنَاهَا 彼はそれを建てました。
(例2) الطَّبِيبُ يَنْهَى المَرِيضَ عَنِ الخُرُوجِ 医者は病人に外出を禁じます。
→ يَنْهَاهُ عَنِ الخُرُوجِ 彼は彼に外出を禁じます。
*動詞 نَهَى は2つの目的語をとることに注意してください。直接目的語は対象人物、前置詞 عن によって導かれる間接目的語は禁止行為を示します。
*なお、一人称の接尾型代名詞 ِي は、動詞に後続する時は نِي に変わります。
(例1) سَأَلَنِي 彼は私に尋ねました。
(例2) نَهَانِي 彼は私に禁じました。
◆6 動名詞(2)
*動名詞については既に第15課で学びましたが、その時、アラビア語では動名詞が多用されると述べました。この課にはたくさんの動名詞が出ています。
(例1) قِيَامٌ (起床)は、くぼみ動詞 قَامَ [Au](立ち上がる)の動名詞です。
(例2) رُجُوعٌ (帰還)は、規則動詞 رَجَعَ [Ai](戻る)の動名詞です。
(例3) خُرُوجٌ (外出)は、規則動詞 خَرَجَ [Au](出る)の動名詞です。
(例4) نَوْمٌ (睡眠)は、くぼみ動詞 نَامَ [Ia](眠る)の動名詞です。
(例5) قِرَاءَةٌ (読み)は、語末ハムザ動詞 قَرَأَ [Aa](読む)の動名詞です。
◆7 強制対格語(3) إِنَّ と لَعَلَّ
* إِنَّ は最も多用される強制対格語です。しばしば文頭に置かれ、陳述全体を強めます。その場合「確かに」とか「実に」などと訳すこともできますが、多くの場合は強いて訳出するには及びません。
*また、この語は既に第16課で述べた أَنَّ と同様、名詞節を導く従位接続詞としても用いられます。しかし、それは動詞 قَالَ [Au](言う)の場合だけです。
(例) قَالَ إِنَّهُ سَيَرْجِعُ 彼は戻ると言いました。
* لَعَلَّ は蓋然性を表す強制対格語です。「たぶん」とか「恐らく」という意味です。
(例) لَعَلَّ الطَّبِيبَ يَسْمَحُ لَكِ بِالقِيَامِ たぶん医者はあなたに起きることを許すでしょう。
◆8 語中ハムザ動詞(2)
*私たちは既に第11課で、語中ハムザ動詞の سَأَلَ [Aa](尋ねる)を学びました。この動詞は فَعَلَ 型ですが、この課には فَعِلَ 型の語中ハムザ動詞 سَئِمَ [Ia](飽きる)が出ています。
(例) سَئِمْتُ النَّوْمَ 私は寝るのに飽きました。
*この動詞は فَعِلَ 型ですから、完了形の第2語根の母音は [i] です。そのため、完了形ではハムザはすべて ئ の台に書かれます。
*また、未完了形ではハムザは母音 [a] をとります。一般に母音 [a] を持つハムザは、直前の音節がスクーンの場合、アリフの台に書かれます。
(例) أَسْأَمُ النَّوْمَ 私は寝るのに飽きます。
◆9 語頭ハムザ弱動詞 أَتَى
*この課には、動詞 أَتَى [Ai](来る)が出ています。この動詞は第3語根が ي の فَعَلَ 型弱動詞です。また、第1語根がハムザですから、語頭ハムザ動詞でもあります。このような動詞は《語頭ハムザ弱動詞》と呼ばれます。
*語頭ハムザ弱動詞は、語頭ハムザ動詞と弱動詞の性質を併せ持った活用をします。既に第16課で、語頭ハムザ動詞の場合、未完了形の一人称単数形では活用接頭辞のアリフと第1語根のアリフが合体してマッダ記号( آ )に変わることを述べましたが、それは語頭ハムザ弱動詞でも同様です。従って、この動詞の未完了形の一人称単数形は以下のように変化して、最終的に آتِي になります。
(例) أَأْتِيُ [理論形]→ آتِيُ [ハムザの変更]→ آتِي [第3語根の変更]
*それ以外の人称では、第3語根が弱語根の変形規則に従って活用するだけです。ハムザは常にアリフの台に書かれます。
(例) قَالَ إِنَّهُ سَيَأْتِي فِي المَسَاءِ 彼は夕方来ると言いました。
1 なお、動詞型という観点から厳密に言えば、第3語根が و の弱動詞には、他に فَعِلَ 型と فَعُلَ 型の弱動詞もあります。たとえば رَضِيَ [Ia](喜ぶ、満足する)は前者の例です。一見したところ、この動詞は第3語根が ي のように見えますが、実は و で、発音の関係で ي に転化したものです。ただし、活用の点から見れば、この動詞は、極細かな点を除けば、 بَقِيَ と同型の活用になります。また、後者の例としては、例えば حَلُوَ [Uu](甘い)がありますが、この型に属する動詞は極めて少数で、あまり使われることもありません。ですから、ここに掲げた4つの型で、弱動詞の活用はほぼ網羅されていると言えるでしょう。