◆1 分離型代名詞(5)
*分離型代名詞の双数形は以下のようになります。いずれも男女共通です。
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単数形 |
双数形 |
三人称男性 |
هُوَ |
هُمَا |
三人称女性 |
هِيَ |
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二人称男性 |
أَنْتَ |
أَنْتُمَا |
二人称女性 |
أَنْتِ |
|
一人称 |
أَنَا |
نَحْنُ |
*なお、一人称双数形の نَحْنُ は複数形と共通です。
◆2 完了形の双数形
*完了形の双数形は、それぞれの単数形から以下のようにして作ります。
①三人称男性形は、単数形にアリフを加えます。
②三人称女性形は、単数形の語末の母音を [a] に変えてから、アリフを加えます。
③二人称は男女共通です。単数形の活用接尾辞の تَ または تِ を َتُمَا に変えます。
④一人称も男女共通です。単数形の活用接尾辞 تُ を نَا に変えます。
規則動詞:完了形の活用(単数形・双数形)
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単数形 |
双数形 |
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三人称男性 |
فَعَلَ |
فَعَلاَ |
三人称女性 |
فَعَلَتْ |
فَعَلَتَا |
二人称男性 |
فَعَلْتَ |
فَعَلْتُمَا |
二人称女性 |
فَعَلْتِ |
|
一人称 |
فَعَلْتُ |
فَعَلْنَا |
*なお、弱動詞の場合、三人称双数男性形では第3語根の弱文字は長母音 [a:] を持つため、通常の子音として強変化します1。従って、第3語根が و の場合は وَا に、 ي の場合は يَا になります。
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دَعَا (Au) |
بَنَى (Ai) |
نَهَى (Aa) |
بَقِيَ (Ia) |
三双男 |
دَعَوَا |
بَنَيَا |
نَهَيَا |
بَقِيَا |
三双女 |
دَعَتَا |
بَنَتَا |
نَهَتَا |
بَقِيَتَا |
二双 |
دَعَوْتُمَا |
بَنَيْتُمَا |
نَهَيْتُمَا |
يَقِيتُمَا |
一双 |
دَعَوْنَا |
بَنَيْنَا |
نَهَيْنَا |
بَقِينَا |
*また、語末ハムザ動詞の場合、三人称双数男性形では第3語根のアリフと双数形語尾のアリフが連続してしまうので、通常はマッダ記号で統合します2。
(例) قَرَأَا [中間形]→ قَرَآ
*否定詞の لَيْسَ は、第3語根がスクーンになる人称では、第2語根の ي は消滅します。これは、アラビア語の音節構造では、無母音の音節は連続することができないためです。
最終形 |
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中間形 |
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理論形 |
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人称 |
活用形 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
接尾 |
第3 |
第2 |
第1 |
接頭 |
||
三双男 |
لَيْسَا |
|
|
|
|
ا |
سَ |
يْ |
لَ |
|
|||
三双女 |
لَيْسَتَا |
|
|
|
|
|
تَا |
سَ |
يْ |
لَ |
|
||
二双 |
لَسْتُمَا |
تُمَا |
سْ |
|
لَ |
|
تُمَا |
سْ |
يْ |
لَ |
|
||
一双 |
لَسْنَا |
نَا |
سْ |
|
لَ |
|
نَا |
سْ |
يْ |
لَ |
|
◆3 一人称の接尾型代名詞
*一人称の接尾型代名詞 ِي は、双数形の名詞に後続すると、母音がファタハ([a]音)に変わります。所有格・対格の場合は双数形の語尾と ي が連続してしまうので、最終的にシャッダで統合されます。
(例1) وَالِدَانِ 私の両親[主格]: وَالِدَا + يَ [中間形] → وَالِدَايَ
(例2) وَالِدَيْنِ 同[所有格・対格]: وَالِدَيْ + يَ [中間形]→ وَالِدَيَّ → وَالِدَيْيَ
◆4 選択疑問詞 أَيّ
*この疑問詞は単数形、双数形あるいは複数形の名詞を後続させて、そのうちの誰が、あるいは何がを問う時に用います。
(例1) أَيُّ تِلْمِيذٍ خَرَجَ ؟ どの生徒が出ましたか。[主格]
(例2) أَيَّ تِلْمِيذٍ دَعَوْتَ ؟ あなたはどの生徒を呼びましたか。[対格]
(例3) مَعَ أَيِّ تِلْمِيذٍ خَرَجْتَ ؟ あなたはどの生徒と出ましたか。[所有格]
*通常は後続語の性にかかわらず أَيّ が用いられますが、女性名詞が後続した場合は أَيَّة が用いられることもあります。
(例1) أَيُّ جَدَّتَيْكَ ؟ どちらのおばあさんですか。
(例2) أَيَّةُ جَدَّتَيْكَ ؟ どちらのおばあさんですか。
◆5 否定強調詞 أَحَدٌ
*この語は元来「一人」あるいは「誰か」という意味ですが、否定文中で用いられると、否定の意味を強調します。
(例1) مَعَهُ أَحَدٌ 誰かが彼と一緒にいます[肯定文]
(例2) لَيْسَ مَعَهُ أَحَدٌ 誰も彼と一緒にいません[否定文]
*既に第10課で学んだ、物の否定強調詞 شَيْءٌ と比べてください。
(例) لَيْسَ عَلَى المَائِدَةِ شَيْءٌ テーブルの上には何もありません。
◆6 副詞 وَحْدَ
*この副詞は接尾型代名詞を後続させて、「一人で」「一人きりで」という意味を表します。常に対格に置かれますが、一人称単数の接尾型代名詞が後続すると、語末の発音はカスラ([i] 音)に変わります。
(例1) تَأْكُلُ وَحْدَكَ あなたは一人で食事します
(例2) أَتَيْتُ وَحْدِي 私は一人で来ました
◆7 能動分詞(7)
*既に学んだように、能動分詞には名詞用法と形容詞用法があります。この課に出ている جَائِعَانِ はくぼみ動詞 جَاعَ [Au](飢える)の能動分詞 جَائِعٌ の双数形で、「飢えている人」もしくは「飢えている状態」を表します。
(例) هَلْ أَنْتُمَا جَائِعَانِ ؟ 君たちはおなかが空いていますか?
◆8 形容詞の音型(3) فَعْلاَنٌ
*この課には فَعْلاَنٌ 型の形容詞 عَطْشَانٌ (喉が渇いている)が出ています。これはよくある形容詞の音型の一つです。
*この型の形容詞が三段変化なのか二段変化なのかは判断に迷うところです。三段変化とすれば女性形は فَعْلاَنَةٌ になります。これとよく似ている音型に فَعْلاَنُ がありますが、その場合は二段変化で、女性形は فَعْلَى になります3。
1まとめ(2)の「弱動詞の第3語根の変化」で述べた「弱文字が長母音を持った時の変化法則」⑨によります。
2 インターネットで検索したところ、 قرآ が 4,550,000 件、 قرءا が 16,400 件、 قرأا が 9,810 件という結果になりました。
3 本書では عَطْشَانٌ と三段変化扱いですが、通常辞書では عَطْشَانُ と二段変化扱いです。その場合、女性形は عَطْشَانَةٌ ではなく、上記のように عَطْشَى になります。