1 特殊活用名詞 أَبٌ

*この課に出てくる أَبٌ (父)と أَخٌ (兄弟)の2つの名詞は、特殊な活用をします。非限定相と冠詞限定相では通常の3段変化をしますが、補語名詞限定相と接尾型代名詞限定相では、最終音節が長音化されます。

特殊活用名詞 أَبٌ (父)の活用(単数形)


主格

所有格

対格

非限定相

أَبٌ

أَبٍ

أَبًا

冠詞限定相

الأَبُ

الأَبِ

الأَبَ

補語限定相

أَبُو زَيْنَبَ

أَبِي زَيْنَبَ

أَبَا زَيْنَبَ

代名詞限定相

أَبُوهَا

أَبِيهَا

أَبَاهَا


*なお、一人称単数の接尾型代名詞による限定相では、3格同型になります。

(例1) أَبِي 私の父は/私の父の/私の父を

(例2) أَخِي 私の兄弟は/私の兄弟の/私の兄弟を

*双数形では、隠れていた第3語根の و が復活し、第2語根は母音 [a] を持ちます。そのため、以下のような活用になります。

特殊活用名詞 أَبٌ (父)の活用(双数形)


主格

所有格・対格

非限定相

أَبَوَانِ

أَبَوَيْنِ

冠詞限定相

الأَبَوَانِ

الأَبَوَيْنِ

補語限定相

أَبَوَا زَيْنَبَ

أَبَوَيْ زَيْنَبَ

代名詞限定相

أَبَوَاهَا

أَبَوَيْهَا


*なお、双数形では、一人称単数の接尾型代名詞による限定相では、次のようになります。

(例1)私の二人の父親[主格]: أَبَوَانِ يَ [理論形] → أَبَوَايَ

(例2)同[所有格・対格]: أَبَوَيْنِ يَ [理論形]→ أَبَوَيَّأَبَوَيْيَ

*これと同型の活用をする名詞は他にもいくつかありますが、第2巻以降で目にすることになるでしょう。


2 弱動詞の能動分詞型活用

*形容詞 غَالٍ (高価な)は、弱動詞 غَلاَ [Au](高価である/高価になる)の能動分詞です。*従って、 غَالٍ の原型は غَالِيٌ ですが、この型の場合、語末の ي は、非限定相の主格と所有格では [i] 音のタンウィーンに変わり、対格ではそのまま維持されます。

*また、文法的に限定された相ではこの ي は常に維持されますが、母音をとるのは対格の時だけです。

弱動詞の能動分詞 غَالٍ (高価な)の活用(単数形)


主格

所有格

対格

非限定相

قَمِيصٌ غَالٍ

قَمِيصٍ غَالٍ

قَمِيصًا غَالِيًا

冠詞限定相

القَمِيصُ الغَالِي

القَمِيصِ الغَالِي

القَمِيصَ الغَالِيَ


*なお、女性形では第3語根の ي は常に維持されます。

(例) غَالِيَةٌ 高価な[女性形/主格]

*双数形では隠れていた第3語根の ي が復活し、以下のように活用します。

弱動詞の能動分詞 غَالٍ (高価な)の活用(双数形)


主格

所有格・対格

不定相

قَمِيصَانِ غَالِيَانِ

قَمِيصَيْنِ غَالِيَيْنِ

冠詞限定相

القَمِيصَانِ الغَالِيَانِ

القَمِيصَيْنِ الغَالِيَيْنِ


*弱動詞の能動分詞の男性形以外でこの型をとるのは、第3語根が弱文字の語根から派生した四音節内部複数形や、動詞から派生したのではないいくつかの例外的な実体名詞などです。


3 受動分詞

*基本形動詞1の受動分詞は مَفْعُولٌ 型をとります。

(例) شَرِبَ [Ia] 飲む→ مَشْرُوبٌ 飲まれた

*受動分詞が名詞として用いられると、「〜される物」という意味になります。この課に出ている مَشْرُوبَاتٌ は受動分詞 مَشْرُوبٌ の外部複数形で、「飲み物」という意味です。


4 能動分詞(8)

*この課に出ている بَائِعٌ は、動詞 بَاعَ [Ai](売る)の能動分詞です。名詞として用いられると「売り手」の意味になりますが、その場合は常に販売物を表す名詞とともに用いられます。「商人」を意味する時は、他の語(たとえば تَاجِرٌ /第27課)を用います。

(例) بَائِعُ المَشْرُوبَاتِ 飲み物売り

1動詞の「基本形」とは、第2巻で学ぶ「派生形」と対になる概念です。