◆1 派生形第4形
*第4形の完了形は أَفْعَلَ 型、未完了形は يُفْعِلُ 型をとります。
*第4形の完了形の特徴は、第1語根の前に派生形接頭辞 أَ が冠されることです1。
(例) يُدْخِلُ - أَدْخَلَ 入れる/ يُخْرِجُ - أَخْرَجَ 出す
[3−1]規則動詞第4形 أَفْعَلَ の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
أَفْعَلَ |
أَفْعَلاَ |
أَفْعَلُوا |
يُفْعِلُ |
يُفْعِلاَنِ |
يُفْعِلُونَ |
3女 |
أَفْعَلَتْ |
أَفْعَلَتَا |
أَفْعَلْنَ |
تُفْعِلُ |
تُفْعِلاَنِ |
يُفْعِلْنَ |
2男 |
أَفْعَلْتَ |
أَفْعَلْتُمَا |
أَفْعَلْتُمْ |
تُفْعِلُ |
تُفْعِلاَنِ |
تُفْعِلُونَ |
2女 |
أَفْعَلْتِ |
أَفْعَلْتُنَّ |
تُفْعِلِينَ |
تُفْعِلْنَ |
||
1共 |
أَفْعَلْتُ |
أَفْعَلْنَا |
أَفْعَلْنَا |
أُفْعِلُ |
نُفْعِلُ |
نُفْعِلُ |
(例) يُدْخِلُ يَدَهُ إِلَى جَيْبِهِ فَيُخْرِجُ وَرَقَةً
彼は手をポケットに入れてお札を取り出します。[未・3単男]
◆2 弱動詞第4形・第3形の活用
*既に学んだように、弱動詞の派生形は、完了形と未完了形の第2語根の母音の組み合わせで活用の型が決まります。第4形と第3形の未完了形では第2語根の母音は [i] ですから、 بَنَى [Ai] 型の活用をとります。
(例) يُعْطِي - أَعْطَى 与える
[3−2]弱動詞第4形 أَعْطَى の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
أَعْطَى |
أَعْطَيَا |
أَعْطَوْا |
يُعْطِي |
يُعْطِيَانِ |
يُعْطُونَ |
3女 |
أَعْطَتْ |
أَعْطَتَا |
أَعْطَيْنَ |
تُعْطِي |
تُعْطِيَانِ |
يُعْطِينَ |
2男 |
أَعْطَيْتَ |
أَعْطَيْتُمَا |
أَعْطَيْتُمْ |
تُعْطِي |
تُعْطِيَانِ |
تُعْطُونَ |
2女 |
أَعْطَيْتِ |
أَعْطَيْتُنَّ |
تُعْطِينَ |
تُعْطِينَ |
||
1共 |
أَعْطَيْتُ |
أَعْطَيْنَا |
أَعْطَيْنَا |
أُعْطِي |
نُعْطِي |
نُعْطِي |
(例1) أَعْطَيْتَنِي خَمْسَةَ دَنَانِيرَ فِي الأُسْبُوعِ المَاضِي
あなたは先週私に5ディナール与えました。[完・2単男]
(例2) سَأُعْطِيهَا لَكَ فِي الأُسْبُوعِ المُقْبِلِ إِنْ شَاءَ اللَّهُ
私はそれを来週あなたに与えるでしょう。[未・1単]
*同様に、第3形でも未完了形の第2語根の母音は [i] ですから、第4形と同様に بَنَى [Ai] 型の活用をとります。
[3−3]弱動詞第3形 لاَقَى の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
لاَقَى |
لاَقَيَا |
لاَقَوْا |
يُلاَقِي |
يُلاَقِيَانِ |
يُلاَقُونَ |
3女 |
لاَقَتْ |
لاَقَتَا |
لاَقَيْنَ |
تُلاَقِي |
تُلاَقِيَانِ |
يُلاَقِينَ |
2男 |
لاَقَيْتَ |
لاَقَيْتُمَا |
لاَقَيْتُمْ |
تُلاَقِي |
تُلاَقِيَانِ |
تُلاَقُونَ |
2女 |
لاَقَيْتِ |
لاَقَيْتُنَّ |
تُلاَقِينَ |
تُلاَقِينَ |
||
1共 |
لاَقَيْتُ |
لاَقَيْنَا |
لاَقَيْنَا |
أُلاَقِي |
نُلاَقِي |
نُلاَقِي |
(例) يُلاَقِي فِي الشَّارِعِ أَحَدَ زُمَلاَئِهِ
彼は通りで同僚の一人に出会います。[未・3単男]
◆3 特殊動詞 أَرَى の活用
*動詞 أَرَى (見せる、示す)は語根 رأي の第4形ですが、この動詞は完了形においても未完了形においても、例外的に第2語根が消滅します。従って、結果的に、弱動詞第4形と似た活用になります。
[3−4]特殊動詞第4形 أَرَى の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
أَرَى |
أَرَيَا |
أَرَوْا |
يُرِي |
يُرِيَانِ |
يُرُونَ |
3女 |
أَرَتْ |
أَرَتَا |
أَرَيْنَ |
تُرِي |
تُرِيَانِ |
يُرِينَ |
2男 |
أَرَيْتَ |
أَرَيْتُمَا |
أَرَيْتُمْ |
تُرِي |
تُرِيَانِ |
تُرُونَ |
2女 |
أَرَيْتِ |
أَرَيْتُنَّ |
تُرِينَ |
تُرِينَ |
||
1共 |
أَرَيْتُ |
أَرَيْنَا |
أَرَيْنَا |
أُرِي |
نُرِي |
نُرِي |
*なお、この2つの動詞 أَرَى と أَعْطَى は、2つの直接目的格補語をとることに注意してください。その場合、最初の補語は動作の対象人物を示し、第2の補語は動作の対象物を示します。
(例1) أَعْطَيْتَنِي خَمْسَةَ دَنَانِيرَ فِي الأُسْبُوعِ المَاضِي あなたは先週私に5ディナール与えました。
(例2) هَلْ أَرَيْتُكَ صُورَتَهُ ؟ 私はあなたに彼の写真を見せたでしょうか。
*ただし、動作の対象物を最初の補語として提示した場合は、動作の対象人物は前置詞 لِ を介して表されます。
(例) سَأَعْطِيهَا لَكَ فِي الأُسْبُوعِ المُقْبِلِ 私は来週それをあなたに与えるでしょう。
◆4 くぼみ動詞派生形の活用原則
*くぼみ動詞の派生形の活用型を決定するのは、第2語根の母音の態様です。
*既に学んだように、第2形と第5形では第2語根は強子音化されるため、通常の子音として強変化します。また、後に学びますが、第9形でも同様です。
*第3形と第6形では第2語根が長母音 [a:] を持つため、やはり通常の子音として強変化します。従って、この5つの派生形では、規則動詞の派生形と同型の活用になります。
*残った4つの派生形は、既に第1巻で学んだくぼみ動詞の変形規則に従って活用します。この課では、第4形の活用を学びます。
◆5 くぼみ動詞第4形
*くぼみ動詞の第4形は、第2語根の種別に関わりなく同型の活用をとります。これは以下に述べる変形規則によるものです。
(例) يُرِيدُ - أَرَادَ ほしい[語根は رود ]
*完了形では、以下の変形規則に従って活用します。
①第1語根がスクーンで、第2語根が短母音 [a] を持ち、かつ第3語根が母音を持つ人称(=三人称単数男性形・女性形、三人称双数男性形・女性形、及び三人称複数男性形)では、第2語根の母音 [a] は第1語根に引き渡され、第2語根は長母音 [a:] を示すアリフに転化します。
(例)完了形の三人称単数男性形: أَرَادَ → أَرْوَدَ
②第1語根と第3語根がともにスクーンで、かつ第2語根が短母音 [a] を持つ人称(=上記以外の人称)では、第2語根の母音 [a] は第1語根に引き渡され、第2語根は消滅します。
(例)完了形の二人称単数男性形: أَرَدْتَ → أَرْوَدْتَ
*未完了形では、以下の変形規則に従って活用します。
③第1語根がスクーンで、第2語根が短母音 [i] を持ち、かつ第3語根が母音を持つ人称(=三人称女性複数形及び二人称女性複数形を除く人称)では、第2語根の母音 [i] は第1語根に引き渡され、第2語根は長母音 [i:] を示す ي に転化します。
(例)未完了形の三人称単数男性形: يُرِيدُ → يُرْوِدُ
④第1語根と第3語根がともにスクーンで、かつ第2語根が短母音 [i] を持つ人称では、第2語根の母音 [i] は第1語根に引き渡され、第2語根は消滅します。
(例)未完了形の三人称複数女性形: يُرِدْنَ → يُرْوِدْنَ
[3−5]くぼみ動詞第4形 أَرَادَ の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
أَرَادَ |
أَرَادَا |
أَرَادُوا |
يُرِيدُ |
يُرِيدَانِ |
يُرِيدُونَ |
3女 |
أَرَادَتْ |
أَرَادَتَا |
أَرَدْنَ |
تُرِيدُ |
تُرِيدَانِ |
يُرِدْنَ |
2男 |
أَرَدْتَ |
أَرَدْتُمَا |
أَرَدْتُمْ |
تُرِيدُ |
تُرِيدَانِ |
تُرِيدُونَ |
2女 |
أَرَدْتِ |
أَرَدْتُنَّ |
تُرِيدِينَ |
تُرِدْنَ |
||
1共 |
أَرَدْتُ |
أَرَدْنَا |
أَرَدْنَا |
أُرِيدُ |
نُرِيدُ |
نُرِيدُ |
(例) أُرِيدُ خَمْسَةَ دَنَانِيرَ
私は5ディナールほしいんです。[未・1単]
◆6 ダブル動詞派生形の活用原則
*ダブル動詞の基本形の活用法則については、既に第1巻第20課で学びました。派生形でもダブル動詞は、この活用法則に従って活用します。同一子音がシャッダで統合される人称と、分離される人称は、基本形の場合と同じです。
*なお、既に第1課で述べたように、第2形と第5形では第2語根が既にシャッダで統合されているため、同一子音が分離されることはありません。規則動詞の派生形と同型の活用になります。
(例) يُجَدِّدُ - جَدَّدَ 更新する/ يَتَجَدَّدُ - تَجَدَّدَ 更新される
*また、既に第2課で述べたように、第3形と第6形では第1語根が長母音 [a:] を持つため、あらゆる人称で同一子音を分離表記する活用も可能とされますが、通常は他のダブル動詞の派生形と同様に活用します。
(例) يُمَاسُّ - مَاسَّ または يُمَاسِسُ- مَاسَسَ 触れる
◆7 ダブル動詞第4形
*この課には第4形のダブル動詞 أَحَبَّ (愛する)が出ているので、その活用を見ていきましょう。
*ダブル動詞第4形は、次の変形規則に従って活用します。
①第2語根と第3語根がともに母音を持ち、かつ第1語根がスクーンとなる人称(=完了形では、三人称単数男性形・女性形、三人称双数男性形・女性形、及び三人称複数男性形。また、未完了形では、三人称女性複数形及び二人称女性複数形を除く人称)では、第2語根はその母音を第1語根に引き渡し、自身は第3語根と統合されます。
(例1)完了形の三人称単数男性形: أَحَبَّ → أَحْبَبَ
(例2)未完了形の三人称単数男性形: يُحِبُّ → يُحْبِبُ
②第3語根がスクーンになる人称では、2つの語根は分離して書かれます。
(例1)完了形の二人称単数男性形: أَحْبَبْتَ
(例2)未完了形の三人称複数女性形: يُحْبِبْنَ
[3−6]第4形ダブル動詞 أَحَبَّ の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
أَحَبَّ |
أَحَبَّا |
أَحَبُّوا |
يُحِبُّ |
يُحِبَّانِ |
يُحِبُّونَ |
3女 |
أَحَبَّتْ |
أَحَبَّتَا |
أَحْبَبْنَ |
تُحِبُّ |
تُحِبَّانَ |
يُحْبِبْنَ |
2男 |
أَحْبَبْتَ |
أَحْبَبْتُمَا |
أَحْبَبْتُمْ |
تُحِبُّ |
تُحِبَّانَ |
تُحِبُّونَ |
2女 |
أَحْبَبْتِ |
أَحْبَبْتُنَّ |
تُحِبِّينَ |
تُحْبِبْنَ |
||
1共 |
أَحْبَبْتُ |
أَحْبَبْنَا |
أَحْبَبْنَا |
أُحِبُّ |
نُحِبُّ |
نُحِبُّ |
(例1) هَلْ هِيَ تُحِبُّ الوَرَدَ كَثِيرًا ؟
彼女は薔薇が大好きですか。[未・3単女]
(例2) أَظُنُّ أَنَّ كُلَّ النِّسَاءِ يُحْبِبْنَ الأَزْهَارَ
私はあらゆる女性は花が好きだと思います。[未・3複女]
◆8 貸借関係表現
*当事者間の貸借関係を示したい時は、次のような表現をとります。
(例) لَكَ عِنْدِي خَمْسَةُ دَنَانِيرَ あなたは私に5ディナール貸しがあります。
(=私はあなたに5ディナール借りがあります。)
*なお、2つの前置詞 لِ と عِنْدَ の違いについては、第1巻第6課を参照してください。
◆9 状況動詞 أَصْبَحَ
*規則動詞第4形の أَصْبَحَ は、 كَانَ と同様に状況動詞の一つです。対格の属詞を後続させたり、未完了形の動詞を直接後続させることもできます。
(例1) أَصْبَحَ الوَلَدُ كَبِيرًا その子は大きくなりました。
(例2) أَصْبَحَ الوَلَدُ يَمْشِي その子は歩くようになりました。
◆10 第4形の能動分詞
*この課に出てくる مُقْبِلٌ は、規則動詞第4形 أَقْبَلَ (近づく)の能動分詞の男性単数形です。従って、この語は「近づいている」「次の」という意味を表します。
(例) سَأَعْطِيهَا لَكَ فِي الأُسْبُوعِ المُقْبِلِ 私は来週それをあなたに与えるでしょう。
*このように、規則動詞第4形の能動分詞は مُفْعِلٌ 型をとります。なお、女性形は مُفْعِلَةٌ です。
*また、ダブル動詞第4形の能動分詞は、以下のように第2語根の母音が第1語根に移動し、第2語根と第3語根はシャッダで統一されるため مُفِلٌّ 型になります。
(例) أَحَبَّ 愛する→ مُحْبِبٌ[中間形]→ مُحِبٌّ
◆11 派生形の動名詞(2)
*既に第2課で、第3形の動名詞は مُفَاعَلَةٌ 型または فِعَالٌ 型であると述べました。 إِلَى اللِقَاءِ (さようなら)に現れる لِقَاءٌ は、弱動詞第3形 لاَقَى (会う)の فِعَالٌ 型動名詞です。
* لِقَاءٌ と語末が単独ハムザになっているのは、第3語根が弱文字だからです。一般に、弱動詞派生形の動名詞の大半は、このように語末が単独ハムザになります。
◆12 活用のまとめ(2)
*この課では、主に第4形について学びました。以下にその活用をまとめてみましょう。なお、左端に(*)印がついているのが新しく学んだ派生形です。
(1)規則動詞の派生形
|
意味 |
完了形 |
未完了形 |
能動分詞 |
動名詞 |
Ⅱ |
教える |
عَلَّمَ |
يُعَلِّمُ |
|
تَعْلِيمٌ |
Ⅲ |
会う |
قَابَلَ |
يُقَابِلُ |
|
مُقَابَلَةٌ |
*Ⅳ |
帰依する |
أَسْلَمَ |
يُسْلِمُ |
مُسْلِمٌ |
|
Ⅴ |
学ぶ |
تَعَلَّمَ |
يَتَعَلَّمُ |
|
تَعَلُّمٌ |
Ⅵ |
別れる |
تَفَارَقَ |
يَتَفَارَقُ |
|
تَفَارُقٌ |
(2)弱動詞の派生形
|
意味 |
型 |
完了形 |
未完了形 |
能動分詞 |
動名詞 |
*Ⅲ |
出会う |
Ai |
لاَقَى |
يُلاَقِي |
|
لِقَاءٌ |
*Ⅳ |
与える |
Ai |
أَعْطَى |
يُعْطِي |
|
|
Ⅴ |
昼食をとる |
Aa |
تَغَدَّى |
يَتَغَدَّى |
|
|
Ⅵ |
互いに会う |
Aa |
تَلاَقَى |
يَتَلاَقَى |
|
|
(3)くぼみ動詞の派生形
|
意味 |
完了形 |
未完了形 |
能動分詞 |
動名詞 |
*Ⅳ |
欲する |
أَرَادَ |
يُرِيدُ |
|
|
(4)ダブル動詞の派生形
|
意味 |
完了形 |
未完了形 |
能動分詞 |
動名詞 |
*Ⅳ |
愛する |
أَحَبَّ |
يُحِبُّ |
* مُحِبٌّ |
|
1このアリフは他の派生形のアリフとは異なり、一時性のアリフではありません。常にハムザを書きます。