◆1 条件文(1)

*日本語の「もし」に相当する条件詞は、アラビア語には3つあります。

*一つ目は إِنْ です。この条件詞は、実現されるかもしれない、また実現されないかもしれない、ある可能性を表すために用いられます。

*この条件詞によって導かれた条件文では、条件節(=従属節)と応答節(=主節)の動詞は、完了形または未完了形要求形におかれます。なお、完了形におかれた場合でも、文全体に過去の意味が付与されるわけではありません。

(例1) إِنْ أَرَدْتَ أَنْ تَصْطَادَ مَعِي أَعَرْتُكَ قَصَبَةً [完了形+完了形]

もしあなたが私と一緒に釣りをしたいなら、私はあなたに釣り竿を貸します。

(例2) أِنْ شِئْتَ جَمَعْنَا السَّمَكَ وَقَسَمْنَاهُ بَيْنَنَا [完了形+完了形]

もしあなたが望むなら、私たちは魚を一緒に集めて、後で分けましょう。

(例3) إِنْ تَسْتَمِعْ إِلَيَّ تَتَعَلَّمْ سَرِيعًا [要求形+要求形]

もしあなたが私の言うことを聞くなら、あなたはすぐに会得するでしょう。

(例4) إِنْ تَذْهَبْ إِلَى المَرْسَى فِي المَسَاءِ تَصْطَدْ كَثِيرًا مِنَ السَّرْدِينِ [要求形+要求形]

もしあなたが夕方波止場に行けば、たくさんイワシを釣るでしょう。

*条件節に否定文を用いたい時は、否定詞 لَمْ を用いて、動詞は未完了形要求形におきます。否定詞 مَا と完了形の動詞を用いることはできません。

(例1) إِنْ لَمْ يَكْفِنَا الدُّودُ نَصْطَدْ بِاللَّحْمِ [要求形+要求形]

(例2) إِنْ لَمْ يَكْفِنَا الدُّودُ اصْطَدْنَا بِاللَّحْمِ [要求形+完了形]

もし虫が足りなかったら、肉で釣りましょう。


◆2 譲歩文(1)

*関係代名詞の مَنْ مَا は、しばしば譲歩文のニュアンスで用いられます。その場合、従属節と主節の動詞は、条件詞 إِنْ の場合と同じ扱いを受けます。

(例1) مَنْ يَصْطَدْ سَمَكًا يَحْتَفِظْ بِهَا [要求形+要求形]

または مَنْ اصْطَادَ سَمَكًا احْتَفَظَ بِهَا [完了形+完了形]

魚を釣った人がそれを取ります。

(例2) مَا اصْطَدْتَهُ ذَهَبْتَ بِهِ إِلَى دَارِكَ [完了形+完了形]

または مَا تَصْطَدْهُ تَذْهَبْ بِهِ إِلَى دَارِكَ [要求形+要求形]

あなたが釣った魚はあなたが家に持って帰ります。

この二つの文はそれぞれ、「魚を釣った人が誰であれ、その人がそれを取るでしょう」「あなたが釣ったものが何であれ、あなたはそれを家に持って帰るでしょう」という譲歩文のニュアンスで用いられています。


◆2 卓越詞(5)

*卓越詞は冠詞をとることもできます。その場合は最上級の意味を表します。

(例) الأَحْسَنُ أَنْ نَفْتَرِقَ

一番良いのは私たちが別れることです。