◆1 関係文

*関係代名詞の الَّذِي は、先行詞が限定相の名詞以外の時は用いられません。その場合、関係文は先行詞を修飾する付加形容文とみなすことができます。

*その意味で、関係代名詞の الَّذِي は、先行名詞が限定相にあることを示す冠詞の役割を果たしていると言うことができます。

*また、関係代名詞の الَّذِي は、決して先行詞と離れることがありません。そして、付加形容詞と同じように、先行詞の性・数・格に合わせて語形変化します。

(例1) أَنْزِلُ فِي المَوْقِفِ الَّذِي قَبْلَ البَرِيدِ

私は郵便局の手前の停留所で降ります。[男性単数形・主格]

(例2) يَتَقَدَّمُ الرَّجُلاَنِ اللَّذَانِ شَاهَدَا الحَادِثَ

事故を目撃した二人の男性が進み出ます。[男性双数形・主格]

(例3) تَصِلُ أَوَّلاً سَيَّارَةُ الإِسْعَافِ لِتَحْمِلَ المَرْأَتَيْنِ اللَّتَيْنِ جُرِحَتَا إِلَى المُسْتَشْفَى

負傷した二人の女性を病院に運ぶためにまず救急車が着きます。

[女性双数形・対格]


◆2 条件文

*最も重要なことは、様々な条件詞の用法に留意することです。

①条件詞 إِنْ は、実現されるかもしれない、あるいは実現されないかもしれない条件を示します。

(例1) إِنْ أَرَدْتَ أَنْ تَصْطَادَ مَعِي أَعَرْتُكَ قَصَبَةً

もしあなたが私と一緒に釣りをしたいなら、私はあなたに釣り竿を貸します。

(例2) إِنْ تَذْهَبْ إِلَى المَرْسَى فِي المَسَاءِ تَصْطَدْ كَثِيرًا مِنَ السَّرْدِينِ

もしあなたが夕方港に行けば、たくさんイワシを釣るでしょう。

②条件詞 لَوْ は、過去または現在において実現されなかった条件、あるいは非現実的で不条理な条件を示します。

(例1) لَوْ وَصَلْتِ قَبْلَ دَقِيقَةٍ لَوَجَدْتِهَا هُنَا

もしあなたがもう一分早く着いていたなら、ここに彼女がいたでしょう。

(例2) لَوْ كُنْتُ وَحْدِي لَمَا أَكَلْتُ شَيْئًا

もし私が一人だったら、私は何も食べないでしょう。

(例3) لَوْ كَانَ لَكِ جَنَاحَانِ لَاسْتَطَعْتِ أَنْ تُدْرِكِيهَا

もしあなたに翼があったら彼女に追いつくことができるでしょう。

إِذَا は、条件詞と言うよりは、条件文のニュアンスを持った時間系接続詞です。

(例1) إِذَا احْتَاجَتْ زَوْجَتِي إِلَى شَيْءٍ ذَهَبْتُ إِلَى السُّوقِ

妻に何か入り用なものがある時は、私が市場に出かけます。

(例2) إِذَا لَقِيتُ شُيُوخًا مِثْلِي تَحَدَّثْتُ مَعَهُمْ

私と似た境遇の老人に会った時は、彼らと話をします。

*いずれの条件詞を用いた場合でも、条件節と応答節の動詞は、完了形におくことができます。一般に、条件文では完了形の動詞を用いるのが良いでしょう。なぜなら、活用が最も簡単だからです。

*なお、既に学んだように、いずれの場合も、条件節の動詞を完了形におき、応答節の動詞を未完了形におくこともできます。

(例1) إِنِ اسْتَطَعْتُ آكُلُ مِنْهُ صَحْنًا آخَرَ

食べられるのなら、もう1皿食べよう。

(例2) لَوْ كُنْتُ أَسْتَطِيعُ آكُلُ مِنْهُ ثَلاَثَةَ صُحُونٍ

食べられるものだったら、3皿でも食べよう。

(例3) إِذَا كَانَ الجَوُّ جَمِيلاً أَذْهَبُ إِلَى البَحْرِ لِصَيْدِ السَّمَكِ

天気がいい時は、海に釣りに行きます。

*最後に、以下のような場合は、応答節の文頭に応答 فَ を立てることに注意してください。

応答節が肯定または否定の名詞文の場合

(例1) إِنْ كُنْتَ تُرِيدُ حَيَوَانًا مُطِيعًا فَالكَلْبُ أَحْسَنُ

もしあなたが従順な動物がほしいのなら犬の方が良いでしょう。

(例2) إِذَا كَانَ القِطُّ وَالكَلْبُ قَدْ رُبِّيَا مَعًا مُنْذُ صِغَرِهِمَا فَلاَ عَدَاوَةَ بَيْنَهُمَا

もし猫と犬が小さい時から一緒に育てられたら二匹の間に敵意はないでしょう。

応答節が疑問文の場合、及び前置詞または特殊な詞(未来詞、強制対格語など)で始まっている場合

(例) إِذَا كَانَ المَطَرُ يَنْزِلُ فَهَلْ تَبْقَى فِي دَارِكَ ؟

雨が降った時は、家の中にいるんですか。

応答節が肯定または否定の命令文の場合

(例) إِنْ أَرَدْتَ ذَلِكَ فَاتَّخِذْ قِطًّا وَكَلْبًا صَغِيرَيْنِ

もしそうしたいなら、子猫と子犬を一匹ずつ取りなさい。


◆3 卓越詞

*卓越詞は、比較級や最上級の意味を表すために用いられます。男性形は أَفْعَلُ 型、女性形は فُعْلَى 型をとります。

*比較級の意味を表す場合、卓越詞は性または数による語形変化を受けません。

(例) هُمْ أَكْثَرُ مِنْ ثَلاَثِينَ 彼らは30人以上です。

*また、卓越詞は、限定相の複数名詞を従える句の冒頭語として用いられている場合も、性または数による語形変化を受けません。しかし、その場合、多少の曖昧さが残ります。というのも、それが単数を指すのか複数を指すのか判然としないからです。

(例) أَلْطَفُ الرِّجَالِ 最も優しい男性(たち)

*単数を指すことを明瞭にしたい時は、卓越詞の後に非限定相の単数名詞を用います。この場合、卓越詞は性による語形変化を受けません。

(例1) أَلْطَفُ رَجُلٍ 最も優しい男性

(例2) أَلْطَفُ مَرْأَةٍ 最も優しい女性

*また、限定相の単数名詞の後に卓越詞を付加形容詞として用いることもできます。この場合、卓越詞は性及び数により語形変化します。

(例) بِنْتِي الكُبْرَى 私の最も大きい娘、即ち、私の長女

*複数を指すことを明瞭にしたい時は、同様に、限定相の複数名詞の後に卓越詞を付加形容詞として用います。この場合も、卓越詞は性及び数により語形変化します。

(例) الأَوْلاَدُ الأَصْغَرُونَ 最も若い子供たち