◆1 同族状況補語
*ある動詞の後に、対格でおかれたその動詞の動名詞を《同族状況補語》と言います。
*同族状況補語が単独で用いられた時は、動詞の意味を強調するだけです。
(例1) رَفَعَنِي مِنَ الأَرْضِ رَفْعًا 彼は私を床から高く持ち上げました。
*同族状況補語はしばしば付加形容詞を伴います。
(例2) غَضِبَ غَضَبًا شَدِيدًا 彼はとても怒りました。
(例3) هَلْ عَاقَبَكَ المُعَلِّمُ عِقَابًا آخَرَ ؟ 先生はあなたに別の罰を与えましたか。
*「同族状況補語+付加形容詞」という構文から同族状況補語が省略され、対格におかれた付加形容詞だけが残ったと見なせる場合もあります。その場合、対格におかれた付加形容詞は副詞として翻訳されます。
(例4) لَمْ أَعْمَلْ جَيِّدًا فِي المَدْرَسَةِ 私は学校でよく勉強しませんでした。
(例5) أَتَيْتُ إِلَى دَارِنَا سَرِيعًا 私は急いで家に帰りました。
*上の2つの文の جَيِّدًا と سَرِيعًا は、以下のように同族状況補語が省略されたものと考えられます。
(例6) لَمْ أَعْمَلْ عَمَلاً جَيِّدًا فِي المَدْرَسَةِ 私は学校でよい勉強をしませんでした。
(例7) أَتَيْتُ إِلَى دَارِنَا إِتْيَانًا سَرِيعًا 私は急いで家に帰りました。
◆2 回数名詞
*同族状況補語は、ある行為の回数を示すためにも用いられます。その場合、動名詞は語末にター・マルブータを添えた語形になります(例: ضَرْبَةٌ → ضَرْبٌ )。このような動名詞は《回数名詞》と呼ばれ、外部複数形をとります。
(例1) هَلْ ضَرَبَكَ ضَرْبَةً وَلحِدَةً ؟ 彼はあなたを1回殴りましたか。
(例2) نَظَرْنَا إِلَيْهِ نَظْرَةً 私たちはそれに一度目を通しました。
*ある行為が複数回為された時は、数詞またはその同等語を対格におきます。
(例3) هَلْ ضَرَبَكَ عِدَّةَ ضَرْبَاتٍ ؟ 彼はあなたを何度も殴りましたか。
*なお、ある行為の回数は、名詞 مَرَّةٌ (回)を数変化させることで表すこともできます。
(例4) أَمَرَنِي أَنْ أَكْتُبَ كُلَّ الدَّرْسِ مَرَّتَيْنِ 彼は私に全部の課文を2回書くように命じました。
◆3 強調否定
*否定詞 لَيْسَ の属詞の前に前置詞 بِ をおくこともできます。この場合、属詞は当然所有格におかれます。
(例) لَسْتُ بِكَسْلاَنٍ 僕は怠け者なんかじゃありません。
◆4 再帰名詞 نَفْسٌ
*この名詞の原義は「魂」「精神」という意味ですが、しばしば、後ろに付加された接尾型代名詞の再帰的意味を表します。その場合は「自分」「自身」などと訳します。
(例1) لُمْ نَفْسَكَ あなた自身を責めなさい。
(例2) كُلٌّ مِنَّا مَسْؤُولٌ عَنْ نَفْسِهِ 私たちは一人一人、自分に責任があります。
◆5 助動詞 كَانَ の用法
*助動詞 كَانَ を未完了形動詞とともに用いて、条件文のようなニュアンスを表すことができます。
(例) كَانَ يَجِبُ عَلَى مُصْطَفَى أَنْ يَحْمِلَ إِلَيَّ كِتَابِي
ムスタファーは僕の本を僕に届けるべきだったんだ。