◆1 呼格(3)

*呼びかける相手を1語で呼ぶ場合は、次の2つの方法があります。

①一つ目は呼びかけ語 يَا を用いる方法です。この場合、後続の名詞は主格におかれ、冠詞を冠せられたり、タンウィーンをとることはありません。

(例1) يَا نَذِيرُ やあ、ナジール!

(例2) يَا وَلَدُ やあ、坊や!

二つ目は呼びかけ語 أَيُّهَا (女性形は أَيَّتُهَا )を用いる方法です。 この場合、後続の名詞は主格におかれ、冠詞を冠せられます。

(例1) أَيُّهَا الرَّجُلُ やあ、君!

(例2) أَيَّتُهَا المَرْأَةُ やあ、貴女!

*ただし、以下のような場合は呼びかけ語 أَيُّهَا は使えません。

呼びかける相手を固有名詞で呼ぶ場合

(例) يَا زَيْنَبُ やあ、ザイナブ! (注) أَيَّتُهَا زَيْنَبُ は不可。

補語名詞が後続した名詞句で呼ぶ場合

(例1) يَا عَبْدَ اللَّهِ やあ、アブドッラー!

(例2) يَا ابْنَ أَخِي やあ、甥っ子

この場合、名詞句の冒頭語は対格におかれることに注意してください1

接尾型代名詞が後続した語で呼ぶ場合

(例) يَا سَيِّدِي やあ、ご主人! (注) أَيَّتُهَا سَيِّدِي は不可。ただし أَيُّهَا السَّيِّدُ は可能。

*これとは逆に、呼びかける相手を付加形容詞を後続させた語で呼ぶ場合は、必ず呼びかけ語 أَيُّهَا を用いなければなりません。

(例) أَيُّهَا المَدَنِيُّ الجَاهِلُ ああ、何も知らない都会子よ!

*なお、呼びかけ語 أَيُّهَا の前に更に呼びかけ語 يَا をおくことは常に可能です。

(例1) يَا أَيُّهَا الوَلَدُ やあ、坊や!

(例2) يَا أَيُّهَا النَّاسُ やあ、みなさん!

(例3) يَا أَيُّهَا المَدَنِيُّ الجَاهِلُ ああ、何も知らない都会子よ!


2 同一性を示す نَفْسٌ

*名詞 نَفْسٌ が名詞句の冒頭語として用いられると、「同じ〜」「同一の〜」という意味を表します。

(例) يَعْمَلُ فِي نَفْسِ المَزْرَعَةِ 彼は同じ農場で働いています


3 敬意を示す慣用語 تَفَضَّلْ

*第5形動詞 تَفَضَّلَ は元々「恩恵を施す」「好意を示す」という意味ですが、この動詞の命令形 تَفَضَّلْ は「どうぞ」「どうか」などというように、相手に対する敬意を示す慣用語として用いられます2

(例) أُرِيدُ أَنْ أَطْرَحَ عَلَيْكَ بَعْضَ الأَسْئِلَةِ عَنِ االفِلاَحَةِ . تَفَضَّلْ

農業についていくつか質問したいのですが。どうぞ


4 接続詞 كُلَّمَا

*この接続詞は كُلٌّ مَا の合成語で、通常は「〜する時はいつも」「〜する度に」という意味を表します。

*ただし、以下のように卓越詞とともに用いて、二つの事象の相関関係を表すこともできます。

(例) كُلَّمَا كَانَتْ أَمْطَارُ الخَرِيفِ أَغْزَرَ كَانَ القَمْحُ أَسْرَعَ نَبْتًا

秋の雨が多量に降れば降るほど小麦の発芽は早くなります



1第3巻第13課参照。

2なお、当然のことですが、この動詞は、敬意を示す相手の性と数に応じて、語形変化させなければなりません。