◆1 動名詞の用法
*動名詞は補語として、その意味上の主語をとることもあれば、また意味上の目的語をとることもあります。
(例1) عَاتَبْتُكِ عَلَى نِسْيَانِكِ 私はあなたの忘れっぽさを叱りました。
この文では、接尾型代名詞の كِ は動名詞 نِسْيَانٌ の意味上の主語、即ち「物忘れをする人」を指しています。
(例2) عَلَى نِسْيَانِ أَيِّ شَيْءٍ 何を忘れたと言うのですか。
この文では、名詞句の أَيِّ شَيْءٍ は動名詞 نِسْيَانٌ の意味上の目的語、即ち「物忘れの対象」を指しています。
*動名詞の補語として意味上の主語と意味上の目的語を二つ同時にとらせたい時は、以下のようにします。
①動名詞の直後に意味上の主語を表す名詞または接尾型代名詞をおきます。名詞の場合は所有格におきます。
②次に、意味上の目的語を対格にして続けます。
(例1) إِنِّي مُعَاقِبْتُكِ عَلَى نِسْيَانِكِ اللَّحْمَ
私はこれから、あなたが肉を忘れたことについて叱ります。
(例2) تُخْبِرُهُ أُمُّهُ بِسَرِقَةِ القِطِّ اللَّحْمَ
お母さんは彼に、猫が肉を盗んだことを伝えます。
◆2 前置詞 إِيَّا
*動名詞の直後に意味上の主語として名詞または接尾型代名詞をおいた後に、更に意味上の目的語として接尾型代名詞を後続させたい時は、前置詞 إِيَّا を用います。
(例) تُخْبِرُهُ أُمُّهُ بِأَكْلِهِ إِيَّاهُ
お母さんは彼に、猫がそれを食べたことを伝えます。
*なお、接尾型代名詞を意味的に強調したい時は、前置詞 إِيَّا に接尾型代名詞を後続させて文頭におきます。
(例) إِيَّاكَ رَأَيْتُ 私が見たのはあなたです。
◆3 感嘆文(3)
*副詞 كَمْ (どれくらい)を用いても感嘆文を作ることができます。その場合、後続の名詞は所有格におかれます。
(例) كَمْ مَرَّةٍ عَاتَبْتُكِ عَلَى نِسْيَانِكِ
私はあなたの忘れっぽさを一体何度叱ったことでしょう。
*なお、この課の本文のように、前置詞 مِنْ を介することもできます。
(例) كَمْ مِنْ مَرَّةٍ عَاتَبْتُكِ عَلَى نِسْيَانِكِ
◆4 接続法の用法
*後続文が先行文の結果・帰結であることを示す接続詞の فَ は、先行文が否定文、疑問文または否定命令文の場合、接続法の動詞とともに用いられます1。
(例) لَمْ أَرْتَكِبْ ذَنْبًا فَأُعَاقَبَ عَلَيْهِ 私は罰せられるような罪は犯しませんでした。
◆5 副詞 حَسَنًا
*この語は対格におかれますが、それはこの語が、以下の文で、同族目的語 قَوْلاً が省略された状況補語と考えられるからです。
(例) قُلْتَ قَوْلاً حَسَنًا あなたはとてもうまく言いました。
◆6 接続詞 مَا
* مَا は、しばしば限定条件を示す接続詞として用いられます。その場合、後続の動詞は完了形におかれます。
*動詞 دَامَ (継続する)が後続した場合、「 مَا + دَامَ 」は一つの状況動詞とみなされ、対格におかれた属詞を直接後続させることができます。
(例) لَنْ تَمَسِّي قِطِّي مَا دُمْتُ حَاضِرًا فِي هَذِهِ الدَّارِ
僕がこの家にいる限り、君には僕の猫に触らせないぞ。
◆7 接尾辞 ئِذٍ
*時間を示す名詞の後に用いられる接尾辞 ئِذٍ は、時間補語を作ります。その時、先行名詞が対格におかれることで状況補語の役目を担い、接尾辞 ئِذٍ の ذ は、指事形容詞の役目を果たします。
(例) عِنْدَئِذٍ その時/ حِينَئِذٍ その瞬間/ يَوْمَئِذٍ その日/ وَقْتَئِذٍ その時
1これは接続詞 فَ 以下の文が現実には実現されていないためです。