◆1 所有形容詞 ذُو
*この語は「〜を持った」「〜を授かった」などの意味を表しますが、常に補語名詞を後続させて用います。
*また、この語は أَبٌ (父)や أَخٌ (兄)などと同型の活用をとります。即ち、 ذُو (主格)、 ذِي (所有格)、ذَا (対格)のように活用します。
(例1) قَدْ خَرَجَ السَّيِّدُ عَبْدُ اللَّهِ مِنَ المَتْجَرِ فِي هَذِهِ اليَوْمِ ذِي الرِّيحِ وَالمَطَرِ
アブドッラー氏は風と雨の日に、事務所から出ました。
(例2) هُوَ ذَلِكَ الرَّجُلُ ذُو الصُّدْرَةِ وَالسِّرْوَالِ الأَسْوَدَيْنِ
それは黒い上着とズボンの、あの男性です。
*なお、この所有形容詞は、数と性によって、以下のように語形が変わります。
[19−1]所有形容詞 ذُو の活用
数 |
性 |
主格 |
所有格 |
対格 |
単数 |
男性形 |
ذُو |
ذِي |
ذَا |
女性形 |
ذَاتُ |
ذَاتِ |
ذَاتَ |
|
双数 |
男性形 |
ذَوَا |
ذَوَيْ |
ذَوَيْ |
女性形 |
ذَوَاتَا |
ذَوَاتَيْ |
ذَوَاتَيْ |
|
複数 |
男性形 |
ذَوُو |
ذَوِي |
ذَوِي |
女性形 |
ذَوَاتُ |
ذَوَاتِ |
ذَوَاتِ |
◆2 否定詞 مَا を用いた否定文
*否定詞 مَا で始まる名詞文及び動詞文では、主語または直接目的格補語の前に前置詞 مِنْ を用いることができます。その場合、後続語は当然所有格におかれます。
(例) مَا نَذَلَ مِنْهُمْ مِنْ أَحَدٍ 彼らは一人も降りませんでした。
◆3 二重不規則動詞
*第1語根が و で第3語根が ي の動詞は、同化動詞の不規則性と弱動詞の不規則性を同時に持つことになります。即ち、第1語根の و は、完了形では通常の子音として強変化しますが、未完了形では脱落します。
(例) وَقَى [Ai] 〜を〜から保護する(語根は وقي )
[19−2]二重不規則動詞 وَقَى の活用
|
完了形 |
未完了形 |
||||
|
単数形 |
双数形 |
複数形 |
単数形 |
双数形 |
複数形 |
3男 |
وَقَى |
وَقَيَا |
وَقَوْا |
يَقِي |
يَقِيَانِ |
يَقُونَ |
3女 |
وَقَتْ |
وَقَتَا |
وَقَيْنَ |
تَقِي |
تَقِيَانِ |
يَقِينَ |
2男 |
وَقَيْتَ |
وَقَيْتُمَا |
وَقَيْتُمْ |
تَقِي |
تَقِيَانِ |
تَقُونَ |
2女 |
وَقَيْتِ |
وَقَيْتُنَّ |
تَقِينَ |
تَقِينَ |
||
1共 |
وَقَيْتُ |
وَقَيْنَا |
وَقَيْنَا |
أَقِي |
نَقِي |
نَقِي |
(例) لَمْ آخُذْ مِظَلَّةً تَقِينِي المَطَرَ
私は雨から身を守ってくれる傘を持ってきませんでした。
◆4 複合形容詞(2)
*複合形容詞の冒頭語は、たとえば次の文のように限定相の名詞を修飾する場合は、冠詞をとります。
(例) هُوَ ذَلِكَ الرَّجُلُ العَارِي الرَّأْسِ それはあの帽子をかぶっていない男の人です。
◆5 名詞句の修飾
*近代のアラビア語では、名詞句の冒頭語を形容詞で修飾する場合、被修飾語と形容詞が離れてしまうのを避けるために、よく前置詞を用いて名詞句を分解します。
(例) مَوْقِفُ الحَوَافِلِ الأَوَّلُ 最初のバス停→ المَوْقِفُ الأَوَّلُ لِلْحَوَافِلِ
*上の例文の مَوْقِفُ الحَوَافِلِ الأَوَّلُ という表現は、現代では「重い」とみなされます。