20課:アブドッラー氏、家族に晴れ着を着せる

アブドッラー氏が家族と一緒に、友人の呉服屋の店にいます。祭日が近いので、彼は家族に晴れ着を着せました。そしてついに清算の時間になりました。

商人が言います。

「お勘定してよろしいですか? 他に買い物はございませんか?」

「勘定して。」

「ザイナブのワンピースは200ディナール、ナジールとサリームの上着は800ディナールですから、全部で千ディナールになります。」

でも、アブドッラー氏は異議を唱えます。

「ねえ、兄弟。僕は値切るつもりはないけど、僕が友人だってことは忘れないでほしいね。」

「ザイナブのワンピースは他のどこの店でも250ディナールはしますよ。でも、私は20パーセント値引きしました。また、二着の上着はどちらも一着500ディナールじゃないと売ってくれませんよ。それなのにどうして、私が友情を忘れたなんておっしゃるんです?」

「勘定を続けて。」

「奥様のドレスは300ディナール、コートは700ディナールですから、これでまた千ディナールになります。それを最初の千ディナールに足すと、二千ディナールですな。それから旦那の上着が655ディナールですから、合計で2655ディナールになります。」

アブドッラー氏が言います。

「そこから155ディナールだけまけてくれ。」

「無理ですよ、旦那。私はこの服をほとんど買った値段で売っているんですから。本当だったら3500ディナールはしますよ。」

アブドッラー氏は2655ディナール払って言います。

「少ない稼ぎなのに、えらい出費をしたものだ。労働者の賃金以外は何でも値上がりしているのに。」