第6課:料理

「ねえ、ザイナブ。何をしているの?」

「あら、ファーティマ。私は二人の弟の夕食を作っているの。」

「お母さんはどこ?」

「ちょっと前に家を出たわ。もう1分来るのが早かったら、ここにいたわよ。」

「私、私のお母さんに言付かって来たの。どこへ向かったの? 今なら追いつけるわ。」

「あなたに二つの翼があったなら追いつけるかも。でも、歩いてじゃ無理。だって、お母さんは車に乗って、お父さんと一緒に友だちの家に行ったの。」

「その友だちの家はどこ? アルジェの市内じゃないの?」

「アルジェからは遠いわ。セティフへ行く途中の、百キロか百一キロの所よ。」

「あなたは何の料理を作っているの?」

「お米料理を作っているわ。」

「どうやって作るの? 私、料理は得意じゃないの。」

「料理は簡単よ。ここに火にかかった鍋があるでしょう。私はこの中に水と塩を入れたの。」

「どうしてお米を入れなかったの?」

「水が煮立つまで待つのよ。それからスプーン何杯かお米を入れるの。それから、もう一度煮立つまでそのまま火にかけておくの。そしたら火を消して、お米をこの大きなザルの中に注ぐの。水切りをするためよ。それから鍋の中にバターを一切れ入れて、お米を戻すの。そして鍋を火にかけて、バターが溶けるまで動かすのよ。」

「あなたの二人の弟たちは、お米と一緒に何も食べないの?」

「食べるわ。私、お肉を二枚焼いてあげるの。」

「二人はおいしいって言ってくれる?」

「うん。私の料理かお母さんの料理か、区別がつかないわ。」

「あなたは何を食べるの?」

「卵二つを卵焼きにして、あとパン一切れね。」

「それで足りるの?」

「私、おなかが空いていないの。もし一人だったら何も食べないわ。」

「ありがとう、ザイナブ。料理のこと、いろいろ教えてくれて。明日、私、あなたのお母さんに会いにもう一度来るわ。だって、私のお母さんが会いたがっているの。」

「それじゃ、明日ね。」