第19課:冬の一日
風と雨の強いある日、アブドッラー氏が、働いている店から出てきました。彼は家へ帰ろうとしました。でも、いつものように徒歩ではなくバスでです。そこで彼は店から一番近い停留所でバスを待ちました。でも、風が吹いて雨が降っているので、大勢の人が彼と一緒に待っていました。
乗客で込み合ったバスがやって来ました。でも一人も降りなかったので、待っていた人たちは誰も乗れませんでした。アブドッラー氏は自分に言います。
「しばらく待つことになるな。家に着くまで一時間か二時間かかるかもしれない。でも、歩いて家に帰ったら雨で濡れてしまう。だって、私は雨から身を守ってくれる傘を持っていないんだから。」
そこで彼は一軒の店に入って、傘の値段を尋ねます。すると、一番安い傘で30ディナールと言われます。彼はこう言いながら店から出ます。
「私は一度しか使わない傘を買うためにお金を浪費するような金持ちじゃない。家に帰れば傘があるんだから。他の貧乏な人たちと同じように、私も出費を倹約しなければならないな。」
彼がこうしている時、アフマドとそのお父さんが車で通りかかります。アフマドが言います。
「お父さん、止めて。アブドッラーさんを乗せてあげて。」
お父さんが彼に言います。
「アブドッラーさんって誰だい?」
「あそこの、帽子をかぶっていない、黒いスーツとズボンの男の人さ。僕の友だちのナジールのお父さんなんだ。」
車が舗道の近くに止まると、アフマドのお父さんがドアを開けて言います。
「アブドッラーさん、どうぞ。」
アブドッラー氏は乗り込んで言います。
「どうもありがとう。」