◆1 関係文(3)

*関係代名詞または先行詞が、関係文中の動詞の直接目的格補語になっている場合は、通常、関係文中の動詞の直後に、関係代名詞または先行詞を想起させる接尾型代名詞を置きます。この接尾型代名詞は《想起代名詞》と呼ばれます。

(例1) إِنَّ هَذَا الوَلَدَ الَّذِي تَرَاهُ عَلَى النَّخْلَةِ هُوَ سُلَيْمَانُ

あなたがナツメヤシの木の上に見るこの少年はスライマーヌです。

(例2) مَا يَفْعَلُ بِمَا يَجْنِيهِ مِنَ التَّمْرِ ؟

採ったナツメヤシはどうするのですか。

(例3) هَذِهِ البِنْتُ الَّتِي تَرَاهَا عَلَى الجَمَلِ هِيَ فَرِيدَةُ

あなたがラクダの上に見るこの少女はファリーダです。

(例4) إِنَّ الجَمَلَ يُطِيعُ النَّاسَ الَّذِينَ يَعْرِفُهُمْ

ラクダは自分が知っている人間には従順です。

(例5) مِنْهُمْ مَنْ أَعْرِفُهُمْ وَمِنْهُمْ مَنْ لاَ أَعْرِفُهُمْ

知っている人もいれば、知らない人もいます。

*なお、関係代名詞によって導かれた関係文では、先行詞は常に限定相におかれています。この場合、《想起代名詞》の使用は推奨はされますが、絶対的なものではありません。たとえば、上の例文は次のように言うこともできます。

(例1) أِنَّ هَذَا الوَلَدَ الَّذِي تَرَى عَلَى النَّخْلَةِ هُوَ سُلَيْمَانُ

あなたがナツメヤシの木の上に見るこの少年はスライマーヌです。

(例2) مَا يَفْعَلُ بِمَا يَجْنِي مِنَ التَّمْرِ ؟

採ったナツメヤシはどうするのですか。

(例5) مِنْهُمْ مَنْ أَعْرِفُ وَمِنْهُمْ مَنْ لاَ أَعْرِفُ

知っている人もいれば知らない人もいます。

*これに反して、先行詞が非限定相におかれている文、即ち関係文が関係代名詞を介さずに直接後続している文では、この《想起代名詞》の使用は必然です。なぜなら、《想起代名詞》がないと、関係文を先行文に結びつける手がかりが失われてしまうからです。

(例1) هَذِهِ صُوَرٌ الْتَقَطْتُهَا هُنَاكَ

これは私がそこで撮った写真です。

(例2) يَرْبِطُ العَرَاجِينَ بِحَبْلٍ حَمَلَهُ مَعَهُ

彼は自分で運び上げたロープで房を縛ります。

*なお、先行詞が「理性を持たない存在1」の場合、関係文では女性単数として扱われます。当然、《想起代名詞》も女性単数形をとります。

(例) قَدْ وَعَدْتَنِي بِأَنْ تُحَدِّثَنِي عَنِ الأَيَّامِ الَّتِي قَضَيْتَهَا فِي الصَّحْرَاءِ عِنْدَ خَالِكَ

あなたは私に、砂漠で叔父さんと過ごした日々について話すと約束しました。


2 卓越詞(3)

*弱動詞の語根から派生した形容詞や分詞の卓越詞は、第3語根がアリフ・マクスーラに転じます。

(例1) عَالٍ 高い→ أَعْلَيُ [理論形]→ أَعْلَى より高い

(例2) قَوِيٌّ 強い→ أَقْوَيُ [理論形]→ أَقْوَى より強い

*卓越詞が句の冒頭語として用いられた場合、卓越詞は最上級の意味を表します。その場合でも、性や数による語形変化は受けません。また、句の第2語(補語)は、限定相に置かれた単数形になります。

(例) مِنْ أَعْلَى النَّخْلَةِ ナツメヤシの木のてっぺんから


◆3 特殊親族活用

حَمٌ (義父)は أَبٌ (父)や أَخٌ (兄弟)と同様に、特殊親族活用2をします。即ち、補語名詞や接尾型代名詞によって文法的に限定されると、最終音節が長音化されます。

(例) وَالرَّجُلُ الَّذِي عَلَى يَسَارِ الصُّورَةِ وَيَحْمِلُ سَلَّةً هُوَ حَمُوهُ

写真の左側で籠を持っている男の人は彼の義父です。


◆4 「撮る」という表現

*アラビア語では「(写真を)撮る」と言う場合、 أَخَذَ よりも اِلّتَقَطَ (原義は、拾う)を好んで用います。

(例) هَذِهِ صُوَرٌ الْتَقَطْتُهَا هُنَاكَ

これは私がそこで撮った写真です。


1第1巻第25課参照。

2第1巻第26課参照。